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鑑賞記録「ブリリア ショートショート シアター」/2010,05,12

ひょうたんからこまッ・Part2

鑑賞記録「ブリリア ショートショート シアター」
鑑賞日:2010年5月12日(水)
<Short Shorts.11>
9(ナイン) / One Day Trip(一日の冒険)
Sooner or Later(遅かれ早かれ) / Volver, Volver(帰郷)
<オムニバスショート>
夢を耕す/夢/やわらかい肌/おしうりコック/オーディション・ザ・ムービー
人を喰った話/20年後の約束/紅(くれない)/うそつき由美ちゃん/u2

「2回目のシアター」
横浜みまとみらいの近くにあるブリリア ショートショート シアター に訪れたのは
今回で2回目になります。
初めて訪れたのは2年前。
その時にはその年の「ショート・ショート・フィルム・フェスティバル」の中で上映された
「アジア・ジャパンプログラム(B)」を鑑賞したのですが、
実はチョン・ウソンがボランティアで出演した短編映画
『Close to you/あなたのそばに』を観るのが主な目的でした。
前回のシアター・レポは★こちら にて。

思えばこれが私とショート・フィルムの初めての出会いだったわけです。
短い時間に閉じ込められたメッセージ。
ある意味潔い完結の姿を見せるショートフィルムには心地よさを感じたし、
劇場のチラシやポスターで見たその後の上映イベントにも魅力を感じていたのですが、
何となくそのままブリリア からは足が遠のいたジ状態になっていました。
そんな私を以下の企画が、ブリリア に誘ってくれました。

「若き才能を応援する」
ブリリア ショートショート シアター ーでは、
4月16日(金)から15日(土)までアキルフィルム 秀作選が上映されていました。
アキルフィルム

照明技師・安河内央之(日本アカデミー賞優秀照明賞受賞)さんが、
映画制作の未来を担う監督や役者志望者を支援することを目的に設立した団体です。
35mmフィルムでの作品制作にとことんこだわり続け、
これまでに27本の短編を制作してきましたが、
その中から9作品(2003年~2009年)を選んで上映しているのがこの秀作選というわけ。
上映されるのは竹中直人監督が認めるショートフィルムの新しい才能・・・、
宮本正樹監督、佐藤哲哉監督、浦山顕監督、西川弘之監督の作品。
さらに竹中直人監督自身の作品も最後に上映されます。
そして作品に登場するキャストが何とも豪華!
故・忌野清志郎さん、佐藤江梨子さん、坂井真紀さん、村上淳さん、
わらに俳優・竹中直人さんと言う凄い顔ぶれが出演しているショートフィルムを
60分間で10本も上映するわけですから、
改めて考えてみればとても贅沢な企画ですよね。
意外にあまり知られていないようなのが残念なくらいです。
ブリリア では上映開始翌日には、
竹中直人監督のトークショーも開催されていたのですが、
私自身もこの情報を見逃していましたから(泣。

この上映がきっかけでご縁を頂いた宮本正樹監督と
竹中直人監督の作品が上映されることから、
久しぶりにブリリア を訪れることを決めた私ですが、
さらに同時期このブリリア で上映されている「9(ナイン)」にも興味があったので、
この日は<オムニバスショート><Short Shorts.11の2プログラムを鑑賞しました。
「9(ナイン)」は現在公開中の「9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~」の
オリジナル・ショートムービー」として有名な作品です。
以下、ひと言添えつつ鑑賞した作品の紹介をしておきます。

Short Shorts.11】
「9〈ナイン〉」
Shane Acker監督
 (アニメーション・USA/2004年)
Academy Award 2006 Nominee for Best Short (Animated Films) Student
Academy Award 2005 Short Shorts Film Festival & Asia 2005
他各国で多数受賞
2匹の布切れで作られた生き物が町の荒れ跡をあさっていると、
機械仕掛けのケモノが襲ってくる。
“9”番は、仲間の“5”番が殺されるのを目撃。
”9”番は強さの証である魔法の球をケモノから盗もうと決心する。
その球には仲間の魂が閉じ込められているのだ。
背景デザインは、第2次大戦で破壊されたヨーロッパの町の写真に刺激をうけて作られた。
完成までに4年半もの歳月がかけられた作品。
(シアター公式サイトより)

監督のシェーン・アッカーが、
映像を学んだUCLAの卒業制作として完成させた11分の短編アニメ作品。
鬼才・ティム・バートンがこの短篇に惚れ込み、
豪華キャストを声優に迎えて出来たのが、
現在日本でも公開中の「9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~」であるが、
先にこのオリジナルを観てから鑑賞したかったかも。
「9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~」に非常に感銘を受けたことから、
オリジナル作品が観たくなりブリリアシアターに足を運ぶことになったのだが、
オリジナル作品の簡潔な展開に感動してしまった。
もしこちらを先に観ていたら、両方の作品に対する感じ方も
もっともっと変わっていたかも。
勿論さらに良い評価に。
シェーン・アッカー監督は、
ピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」にも
アニメーターとして参加しています。

「Volver, Volver(帰郷)」
Gaz Alazraki監督(ドラマ・メキシコ/2006年)
若く、野心にあふれる弁護士のホルへは、昇進への希望を抱きつつ、
彼女のモニカと共にアカプルコへと向かっていた。
ところが、途中で車が故障してしまった。
昇進の夢が破れてしまうのではないかと焦るホルへ。
そして物語は予想外の展開に。
途方に暮れた2人を拾ってくれたのは、
モニカの高校時代の恋人、アレックスだった。
(シアター公式サイトより)

初めはホルへのモニカへの態度と小心者?ぶりにイラっとさせられたが、
アレックスの登場でモニカのホルへに対する気持ちにもぐらつきが?
モニカ目線でストーリーを追っていくとラストであれれ?
オチにクスっと笑わされた作品。
何も知らなくて幸せだったかも、モニカ・・・(笑。

「Sooner or Later(遅かれ早かれ)」
Istvan Madarasz監督( ドラマ・ハンガリー/2006年)
第2次大戦中、ナチスはタイムマシーンを発明した。
敗北間近のナチスドイツに勝利をもたらす大発明かもしれない。
けれど彼らは、その成功が何をもたらすのかを知らない。
(シアター公式サイトより)

ひよこが先か、卵が先か。
時間旅行を扱う作品を観ているといつもその疑問の虜になってしまう。
この作品も例外では無い。
延々と繰り返される時間。
切り取られた時間と空間の中を私と私が行き交う不思議。

「One Day Trip(一日の冒険)」
Cady Abarca監督(ドラマ・ペルー/2005年)
ペルー、リマのうらびれた娼館に友人と遊びに出かけた、13歳のゴンサロ。
一人の少年の衝撃的な秘密が明らかになり、彼らの純粋無垢な時代は終わりを告げる
(シアター公式サイトより)

貧困層であろうと富裕層であろうと生まれてきたからには同じ命。
友情だって時にはごく自然に育まれる。
まだあどけない面立ちの少年が連れ立って訪れたのは売春宿。
初めはそのシチュエーションに驚かされるが、
真実を知れば親子の悲しい現実が見えてきて胸に迫る。
暴かれた秘密。
二人の友情はこの先形を変えたとしても、続いていってくれるだろうか。
劣悪な環境でしか生きれられない人々にも、
未来に希望が持てる世界であることを・・・。


【オムニバスショート】
「夢を耕す」
佐藤 哲哉監督(2009年・30秒)
<出演>
角田真伊・細井学・岡田啓壱・福村孝仁・北沢輝樹
山城美智子・三友一之・瀬野卓
 他
今回のプログラム9本の制作の中心となった団体「アキルフィルム」。
その劇場用CM第一弾。
監督や俳優志望者を支援する主旨を反映させている。
(シアター公式サイトより)

本編に登場するキャラクターたちは、
自ら夢で体験したものをモチーフにしたそうです。


「夢」
宮本 正樹監督(2009年・13分)
出演:竹中 直人、白井 絵莉 他
冬のある日、田舎の分校の同窓会に久々に参加するマリ。
皆に対して「私は東京で女優をやっているのよ」と鼻高々に自慢する。
そこにマリの熱烈なファンである源三郎(竹中)が現れ、余計な口出しをする。
その一言でマリのメッキが剥がれてしまい、皆に蔑まれるが……。
ほろ苦くも、夢を追う人々へのエールに満ちた一篇。

(シアター公式サイトより)
中盤から登場する竹中直人さんの演ずるキャラクターがストーリーを引き締める。
夢を追いかけるにはまだ間に合う・・・。
その一方で現実を受け入れるべき時かも知れない。
自らの立ち位置が微妙に揺れ動く、そんな年代に差し掛かった彼らに取って、
「夢」とは。
自らにも今一度問いかけてみたい永遠のテーマ。

「やわらかい肌」
佐藤 哲哉監督(2006年・1分)
出演:白井 絵莉
グラビア、CM、映画と幅広く活躍する女優・白井 絵莉。
その眩いほどの魅力が凝縮された、CM風イメージ・ショットの数々。
60~70年代にかけて、資生堂のCMを手懸けた伝説的ディレクター、
杉山登志氏の諸作へオマージュを捧げている。
(シアター公式サイトより)


「おしうりコック」
浦山 顕監督(2005年・1分30秒)
出演:宇山けん、佐藤祐香
ある喫茶店に男が訪れ、女店主に持ちかける。
「この店をレストランにしましょう」と。
その押し売りまがいの提案に戸惑う店主。
男は「私が得意な調理を務めますから」と勝手に宣言して帰ってしまう。
翌朝、男が準備万端の恰好で働きに来ると……。
監督の浦山は「宇山けん」の芸名で活動中の新進俳優。
元々お笑い志望ならではの、とぼけた味わいのコメディ。
(シアター公式サイトより)

これぞ、ショート・ショートの真髄と言った切れ味の良い作品。
簡潔にまとめた笑いが良い。

「オーディション・ザ・ムービー」
宮本 正樹監督(2005年・6分30秒)
フジフィルム主催フィルムラバーズフェスタ'07グランプリ
「u2」キャスティングのためのオーディション風景。
個性あふれる俳優志望の面々が、小刻みなカッティングで紹介される。
その独特な構成は「人間万華鏡」と呼ぶに相応しい。
(シアター公式サイトより)

次々に現れる人々の顔・顔・顔。
彼らは語り、訴え、表現し、画面は無慈悲にも瞬時で切り替わる。
カメラの向こうの人々は受け入れてもらおうと戦い、
こちら側の私たちは彼らの百態を見守る傍観者。
その対比が何だかおかしくて、何故か物悲しさを誘う。
百人百様の「言い分」にクスリとさせられた。

「人を喰った話」
西川 弘之(2006年・3分)
出演:田中 貴、福村 孝仁、境原 英樹 他
ショートショートフィルムフェスティバル'08「Neo Japan部門」入選。
人里離れた山中にオープンしたレストラン。
どういう訳か、ほとんどの客が食後に失踪してしまう。
その店には恐るべき秘密が隠されていた……。
食品偽装問題を痛烈に風刺したブラックコメディ。
(シアター公式サイト)

宮沢賢治の「山猫軒」を思い出してしまう。
よくあるブラック・ショートだが、
怖いのにユーモラスな仕上がりに仕上がっていたのが良かった。
簡潔にまとめられたストーリー。

「20年後の約束」
宮本 正樹監督(2003年・9分)
第3回シーズ・ネクストSurvive16選出
出演:坂井 真紀、才藤 了介 他
20年前、父と母が交わした再会の約束。
死んだ母の代わりに、まだ見ぬ父を待つ娘。
母の形見の壊れかけのオルゴールを携えて。
その待ち合わせ場所の喫茶店で、飲んだくれた客が娘に絡んでくる。
その酔客が実は……。
目には見えない親子の絆が、オルゴールの儚い音色に象徴される。
哀しくも慈愛に満ちた感動篇。
シアター公式サイトより)

坂井真紀さんの演技が光る。
表情の豊かさや表現力には深みがあった。
今回の宮本監督のラインアップの中では一番好きな作品である。

「紅(くれない)」
佐藤 哲哉監督(2006・2分30秒)
出演:白井 絵莉、角田 真伊・斎藤あきら
BARのカウンターで、ホステスのエリとマイが仲睦まじく寄り添い、
互いの愛情を確かめ合う。
そこへマイにぞっこんな客が来店し、口説き落とそうと纏わり付く。
嫉妬したエリは……。
現実とも妄想ともつかぬ、妖しいムードに満ちた官能篇。
(シアター公式サイトより)

これぞホラー。
「女って怖い!」ってまた思われてしまう(笑。

「うそつき由美ちゃん」
宮本 正樹監督(2003・9分)
出演:村上 淳、井出 英美里、才藤 了介 他
黒澤明記念ショートフィルム・コンペティション'06奨励賞、
小津安二郎記念 蓼科高原映画祭'06短編コンクール入賞、
フジフィルム主催フィルムラバーズフェスタ'04奨励賞
小さな喫茶店に、猿の着ぐるみ姿の男が乱入する。
男は逃走中の強盗犯! 
たまたま居合わせた客を監禁して立て籠もる。
だが、一緒に過ごす内に、各人が抱えた深刻な事情が明らかになる……。
(シアター公式サイトより)

この作品も好み。
極限状態で描かれる人間模様が面白い。

「u2」
竹中 直人監督(2005年・9分)
出演:忌野 清志郎、佐藤 江梨子 他
タイトルは「憂鬱(ゆううつ)」をもじっている。
忌野清志郎と佐藤江梨子が、喫茶店主のおしどり夫婦を、ほのぼのと演じている。
気だるいムードの店内で、シュールなギャグが炸裂する。
竹中監督も伝説的カリスマ俳優の物真似でカメオ出演する等、
長年のファンにとっては堪らないサービス満載篇。
竹中氏からの清志郎氏へのオマージュとしても貴重な作品。
(シアター公式サイトより)

竹中監督の映画への愛がたっぷり感じられる、
映画へのオマージュ作品。
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で見事な演技を披露した
 佐藤江梨子さんがアンニュイないい味を出している。
竹中直人さんの演じる「あの人」に懐かしさを感じ、
元気な姿を披露している忌野清志郎さんには思わず胸が熱くなった。
タイトルの「u2」「憂鬱」をもじった言葉だと言うのも何だかいい感じ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1分から9分までのショート・ムービーは、どれもが簡潔で観ていて楽しい。
小さな箱に閉じ込められた様々な種類の14品のご馳走・・・。
っぱりした前菜からこってりしたデザートまで、
どれも一口サイズながらも、種類豊富にきっちりまとめられていた。
まことに胃に優しく消化に良いご馳走である。
程よい満腹感を感じて帰路に着いた。


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